福知山線の宝塚~道場にかけての区間は福知山線の複線電化のときに、ルート変更によって廃止されたのはよく知られています。
特に生瀬~武田尾間の廃線跡は武田尾廃線とも呼ばれています。この区間が武庫川渓谷の景勝地で廃線跡の中でも特に名高い区間です。かつては自己責任という形でJR側が廃線跡に侵入するハイカーを黙認しているという状態でしたが、死亡事故もあり、現在では橋梁で安全に確保やトイレなどが整備され、以前より安全にハイキングを楽しめるようになっています。
武田尾廃線には続きがあり、武田尾~道場にも廃線跡は続いています。しかしながら生瀬~武田尾と比べると見栄えはやや劣ります。さらに武庫川を渡っていた3つの橋梁は全て撤去され、線路跡はゴミ処理場や工場、旅館、遊水地と様々な用途に転用されたことで小間切れにされ、辿ることが困難な状況になっています。
今回は訪れた植山トンネルはそうした武田尾~道場の間で比較的訪れるのが簡単なトンネルです。
以前に僕は動画でこの辺りの廃線跡を調べたのですが、バイクに乗りながらながらざっと見ただけでは侵入可能なトンネルの入り口を見つけることができず、放置していました。
今日(2021/4/25)はそのトンネルに訪問してきました。動画にするほどでもないのでこちらに投稿します。
場所は兵庫県道327号切畑道場線を終点の道場から川下川ダム方向に走ると行くことができます。
ちょうど福知山線のアンダーパスを二回くぐったところに件のトンネルがあります。
上の写真がちょうどトンネルのある方向への路盤が道路と交差するところです。
どこにあるかわかるでしょうか?
ちょうど石垣になっているところの直上が橋台跡でそこにから右方向にトンネルへと続く路盤があります。
橋台はこんな感じです。橋台はコンクリート固めです。
橋台近くには現役時代の標識がまだ残っていました。半径300メートル制限速度60キロを示す小式です。木に寄りかかって倒れかけていました。この標識が福知山方面の列車に対する制限なのか、尼崎方面への列車に対するものなのかは判然としません。この速度制限の標識の他に、トンネル内に勾配標もありました。
ここから反対側を見るとトンネルが見えます。
近づくとこんな感じです。明治時代の隧道なので坑口は煉瓦造り、内部は下部が石積み、上部がレンガ積みです。生瀬~武田尾にある他のトンネルと特に変わった印象は受けません。
トンネル内部はゴミが多少あるものの全体的にきれいです。碍子も坑口付近には残っています。中間地点辺りの全体と福知山方入り口から見て右側下部、ちょうど石積のあたにモルタルでの覆工があります。
福知山側坑口の真上を県道が跨いでいるのですが、特に補強などされてはいないようです。
福知山側坑口はトンネルを出るとすぐ先が土砂で塞がれており先へは進めません。ちらりと見えているのは現在の福知山線の高架線路です。この先は工場の土地のようなので、すぐに引き返します。
植山トンネルを出て県道まで戻ってきました。目の前の橋は新名神高速道路です。エクストラドーズド橋と呼ばれる構造の橋です。福知山線の廃線跡はここから武庫川を渡って対岸に渡っていました。対岸の建物はゴミ処理場です。関係者立ち入り禁止ですが、ゴミ処理場の裏手には廃線跡の切通が残っているようです。
コメント